プロローグ
あたしに双子の姉がいると父から伝えられたのは、一八歳の誕生日だった。
今まであたしに姉妹がいるなんて知らなかった。
父の話によると、佐々木家の跡取りに生まれた双子の姉妹は特殊な遺伝子を持つ素体らしい。
私の姉は、その遺伝子に含まれている物質が強すぎたため、ある日、突然と存在と言う概念が消えたらしい。
存在の概念の消失は周囲の人々にも少なからず、影響はあった。
まるで姉の存在が初めから無かったように、誰一人として綺麗に記憶から消えていた。
そして、今のあたしにも姉の存在は知る由もなかった。
あたしの両親は俗にいう魔法使いの家系だ。けれども、あたしは魔法を使っている両親は見たことがなかった。
両親が魔法使いという認識はあまり抱かなかった。
それでも、私の母は莫大な魔力を宿した身体で二人の姉妹を出産したことにより、その魔力の大きさが仇となり身体に負荷がかかり、あたしは物心が付く頃にこの世を絶った。母が亡くなり、あたしたち姉妹は酷く塞ぎ込んでいた。
そう、丁度、その頃、姉は消えてしまった。あたしの記憶にも一片も残らず、舞い散る桜のように。
話は戻る。十八歳の誕生日の事だ。
『お姉ちゃんに会ってみないかい?』
父にあたしに唐突にそう問われた。父だけがあたしの姉の存在を覚えていた。
姉、その存在を回想のようにその欠片のような記憶を思い起こす。
名前、父すら姉の名が思い出せない。ただ存在だけしか知らないように。
あたしの答えはお盆で見かける走馬灯のように心は揺さぶられていた。
『可能性があるなら会ってみたい。でも、どうやって?』
父はとある事件を捜査している最新鋭の科学集団がいる紅丸島に行けばいい。と言っていた。
紅丸島は佐々木家の古き頃から繋がりのある宮本家の作った人工島だ。
コンクリートの大地に研究所や大型公園などを設置している。
それも父から聞いた話だ。勿論、そんな島は政府の許可もなしに作られた島なので地図には載っていない。
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